🐓 動物・人・企業 ― みんなのGOODにつながるアニマルウェルフェア
— 第5回エシカル・コンシェルジュ講座(講師:認定NPO法人アニマルライツセンター 岡田千尋氏)

■ アニマルウェルフェアは「動物のため」だけではない

アニマルウェルフェアは、動物だけでなく、人の健康にもつながる考え方。
講座の冒頭で示されたのは、とても本質的な視点でした。
「アニマルウェルフェアは、動物の福祉ではなく、 人間を含めたすべての生き物の健康につながる考え方」
地球上には人間の約10倍の数の畜産動物が存在し、その飼育環境が 人の健康・食品安全・環境・企業の持続可能性に直結している。
この“つながり”こそが、アニマルウェルフェアの核心です。
■ 世界は「ケージからの転換」を進めている

画像)ウィンドレス鶏舎内部の様子

画像)平飼いの鶏の様子
世界ではケージフリーが標準に。日本はまだ約1〜3%。
講座資料では、世界の動向が非常に具体的に示されていました。
- 米国8州ではケージ飼育卵の販売禁止
- EUはケージフリー率60%超
- スイスは100%ケージフリー
- アジアでも中国・韓国が政策として前進
- 日本は約1〜3%と大きく遅れている


画像)鶏の巣箱/産卵箱
鶏は「高い場所で眠りたい」「巣箱に入りたい」という強い欲求を持つ。
鶏が本来求める行動(止まり木で眠る、巣箱に入る、歩く・羽ばたく)が ケージではほぼ不可能であることは、科学的にも明らかです。
「鶏はエサより巣箱を優先して重い扉を押し開ける」 「ケージから出ると2ヶ月で羽がすべて生え揃う」
“当たり前”と思っていた飼育方法が、実は動物の自然な行動を奪っていたことがわかります。
■ 食品安全の観点でも、ケージはリスクが高い

イラスト画像:サルモネラ菌
ストレスの高い飼育環境ほど、サルモネラ陽性率が高くなる。
資料では、サルモネラ菌や薬剤耐性菌のデータが示されました。
- ストレスの高いケージ飼育ほどサルモネラ陽性率が高い
- 日本の鶏肉は 86%が薬剤耐性菌(2025年研究)
- 耐性菌は人の体内で定着し、将来の健康リスクになる
- WHOは「畜産での抗菌薬使用が人の耐性菌を増やす」と警鐘
アニマルウェルフェアは、 食品の安全性そのものを支える“品質の一部”であることがよくわかります。
■ 肉用鶏・豚でも世界は改善へ

画像)放牧鶏
成長率を抑えることで、病気・死亡率・ストレスが大幅に改善。
肉用鶏では、成長率を抑えた「ゆっくり成長する品種」への転換が進み、 死亡率・疾病・ストレスが大幅に改善。
豚では、世界中で妊娠ストールの廃止が進み、 日本企業も2030年を目標に切り替えを開始しています。


■ 企業の評価軸も変わっている

アニマルウェルフェアは、すでにESG投資の評価項目。
国際的には、アニマルウェルフェアはすでに ESG投資の評価項目。
- OECD指針にアニマルウェルフェアが明記
- SASBでは「ケージフリー卵の割合」「妊娠ストール不使用の割合」が指標
- FAIRR(95兆ドルの投資家ネットワーク)はAWを主要リスクとして評価
つまり、 “動物にやさしい企業”は、投資家からも評価される時代になっています。
■ 日本でも変化が始まっている

画像)イオン/平飼い卵の棚

画像)平飼いたまご
静かに、しかし確実に、日本の食品業界も動き始めている。
講座資料には、国内企業の取り組みが多数紹介されていました。
- イオン:2025年までに平飼い卵20%へ
- 東都生協:2030年に平飼い卵利用人数を逆転
- キユーピー:2030年までに国内卵の20%をケージフリーへ
- シャトレーゼ:放牧養鶏を開始
- サミット・ファミマ・吉野家:国際水準の飼育密度・スタニング導入
- 日本ハム・プリマハム:妊娠ストール廃止へ
静かに、しかし確実に、日本の食品業界も動き始めています。
■ 地球環境とのつながり

「安い肉・卵・乳」の裏側で、自然と人権が失われている。
講座資料の後半は、環境負荷の話が圧巻でした。
- 畜産は世界のGHGの約20%
- 飼料生産が森林破壊の主要因(アマゾン・セラード・グランチャコ)
- 大豆の74%は家畜の飼料
- 農薬被害・先住民族への暴力・水資源の枯渇など、社会問題も深刻


画像)メガソーラー(大規模太陽光発電所)
・自然災害のリスク
・生態系への影響
・ライフサイクルとCO2排出
・廃棄やリサイクルの懸念
「安い肉・卵・乳」の裏側で、 地球の自然と人権が失われている現実が示されていました。
■ 解決策はシンプル
講座の最後に示されたのは、たった2つの方向性。
- 動物性食品の量を減らす
- 動物福祉に配慮した飼育へ転換する
“良いものを、少量に” これは、IMAI企画が大切にしてきた世界観とも重なります。
■ 私たちにできること
- 平飼い卵を選ぶ
- プラントベース食品を取り入れる
- お店や企業に「ケージフリーをお願いします」と伝える
- 調べて、選んで、広げる
- 地域の議員に改善を依頼する
- 周りの人に事実を伝える

写真素材:代替肉を使ったバーガー

写真素材:大豆ミートで作るプラントベースハンバーグ
1日3回の食事は、地球と動物に貢献できるチャンス。
■ IMAI企画として
自然とともにある暮らし、 地域の農と食を大切にする姿勢、 フェアトレードやエシカルな選択を広げてきたIMAI企画にとって、
アニマルウェルフェアは「次の大切なテーマ」だと感じます。
動物・人・企業・地球。 すべての“GOOD”がつながる未来へ。
IMAI企画は、これからも やさしく、強く、静かに、 その未来づくりに関わっていきます。
