何もしないともっと暑くなる 数字で見る「暑さと気候変動」
歴代最高気温をたびたび更新するなど、2025年の夏も異常な暑さに見舞われた日本。この暑さと気候変動にはどのような関係があるのだろう。世界や日本の最高気温と、2100年の予報から見えるものは……?
世界の史上最高気温は「56.7℃」、日本は「41.8℃」
世界の史上最高気温は、1913年7月10日に米国カリフォルニア州デスバレーで記録された56.7℃。これは現在もギネス世界記録に認定されている(※1)。
一方、日本の史上最高気温は41. 8℃。2025年8月5日に、群馬県伊勢崎で記録された。ちなみに、同日は全国14地点で40℃以上を観測し、40度以上を観測した1日あたりの地点数も、過去最多となった(※2)。
2100年の平均気温 世界は「3.7℃」日本は「4.5℃」高くなる
世界と日本の年平均気温は、変動しながらも上昇している。今世紀末には、年平均気温が世界では1.1~3.7℃、日本では1.4~4.5℃上昇すると予測されている(※3)。
日本が位置する北半球の中緯度(北緯30度から60度)の地域は陸地が多いため、日本の平均気温の上昇は、世界のそれよりも高くなるとみられている(※4)。
2100年の日本 猛暑日「17.5日増加」、冬日「46.2日減少」
日本では今後、真夏日、猛暑日、熱帯夜の日数が増加し、冬日が減少する。今世紀末の日本では、猛暑日は年間で最大17.5日増加、熱帯夜は最大38日増加し、冬日は最大46.2日減少すると予測されている(※4)。
現時点ですでに、東京、大阪、名古屋などでは、年間の3分の1以上が夏日だ。近い将来、年間の3分の1が真夏日になるとみられている。
*夏日:最高気温が25℃以上の日/真夏日:最高気温が30℃以上の日
猛暑日:最高気温が35℃以上の日/熱帯夜:最低気温が25℃以上の日
冬日:最低気温が0℃未満の日
気候変動関連死は「1450万人」 新型コロナの「4倍」以上
2050年までに気候変動によって、世界には1450万人の死者と12兆5000億ドルもの経済損失をもたらすと予測されている。ちなみに、世界に未曾有の被害をもたらした新型コロナウイルス感染症の初年度の死者数(2021年5月28日AFP通信発表)は世界で約350万人で、この4倍以上となる(※5、6)。
とくに気候変動の影響を受けやすいのは、子ども。子どもは体温が上がりやすく、汗をかく能力が未発達で、体温を下げる機能が大人より遅いためだ。また、2024年には熱波などの影響でバングラデシュとフィリピンで学校閉鎖が続き、1年間で85カ国で2億4,200万人の子どもが影響を受けたと報告されている(※7)。
現在の気温は気候変動の影響を「5倍」受けている
近年の夏は、全国各地で歴代最高気温をたたき出すなど、記録的にも厳しい暑さに見舞われている日本。この大きな理由が、気候変動によるものだ。気候変動とその影響について調査する非営利団体クライメート・セントラルが発表する「クライメート・シフト・インデックス(Climate Shift Index)」では、特定の日の気候と気候変動の影響について評価している(※8)。
それによると、史上最高気温を更新した2025年8月5日の日本は関東から西日本のほぼ全域について、気候変動の影響が「5倍」だったと評価された。これは、「気候変動によってこのような気候状況が発生する可能性が少なくとも 5 倍高まった」ことを意味し、10段階ある同指標で最大となる数値だ。近年の異常な暑さは、気候変動の影響によるものと言っていいだろう。