— 第17期エシカル・コンシェルジュ講座 第4回 五箇公一氏 講演より —
生物多様性は「人間社会の土台」だった

第4回目のエシカル・コンシェルジュ講座では、 国立環境研究所の五箇公一氏をお招きし、 生物多様性と人間社会の深い関係性について学びました。
五箇氏は冒頭でこう語ります。
「生物多様性を守るというのは、可愛い動物を守る“愛護”ではなく、 安心・安全・豊かな人間社会を維持するための“エゴ”である。」
この言葉が示すように、生物多様性は環境の話ではなく、 私たちの暮らし・健康・経済・文化のすべてを支える“土台”です。
■ いま地球で起きていること

講座では、世界の現状が次々と示されました。
- 生物多様性の危機
- 世界の陸地の 75% が人間活動で改変
- 約 100万種が絶滅危機
- 絶滅速度は過去1000万年の 10〜100倍
静かに「大絶滅時代」の入り口に立っていると言われています。
- 生息地の破壊・乱獲・汚染
熱帯林は年間 東京ドーム1万個分の面積が失われ、 乱獲や家庭排水による水質汚染、 プラスチックや化学物質の環境残留など、 人間の生活が自然環境に大きな負荷を与えています。

🔎ブラジルのアマゾン熱帯雨林における急速な森林伐採と火災による破壊の様子

🔎乱獲/自然に増える速度を超えて、過剰に動物を獲り続けてしまうこと

🔎日本で、いま、一番、水を汚してる原因は・・・「家庭生活排水」海や川の汚染原因の70%を占める
日常の抗菌剤が魚の発育に影響する実験結果も紹介され、 「足元の暮らしから見直すこと」の重要性が強調されました。

🔎五箇先生の研究により明らかになったジンクピリチオンによる催奇形性
■ 外来生物と感染症の拡大


🌍グローバル化は、モノだけでなく生物や病原体まで世界中に運びます。
- 外来生物の侵入
ヒアリ、アライグマ、ツマアカスズメバチ、オオクチバス…。 天敵のいない土地で爆発的に増え、 農業被害・生態系破壊・感染症リスクを引き起こします。

ヒアリ

アライグマ

オオスズメバチ
- 新興感染症の増加
五箇氏の研究から、 「病原体にも本来の生息地があり、宿主と共進化してきた」という 重要な視点が示されました。

「病原体微生物もまた生物多様性の一員」
生態系を壊すことで、 本来出会うはずのなかった病原体と人間が接触し、 新興感染症が増えていく—— これは“起こるべくして起こった自然の摂理”だと語られました。


イラスト説明)自然生態系では、各生物種が利用・消費できる資源量に応じて、そのバイオマス(生物量)が制限されており、ピラミッド構造が形成されることで安定した循環システムが維持される(上)。しかし、人間は化石燃料を利用してエネルギー補填および生活物資の生産を行い、巨大なバイオマスとして生態系の頂点に君臨することで生態系のバランスを崩し、様々な地球環境問題を引き起こしている。その結果、密度超過となっている人間集団に対して天敵として新興感染症ウイルスが進化してくることとなる(下)。
(原図出典:国立環境研究所「ここが知りたい温暖化」)
■ 里山の崩壊と、私たちの暮らし

日本では、里山の放棄・過疎化により 人と野生動物の境界線が崩れています。

かつて日本人は、 森・川・田んぼ・里山を循環させながら自然と共生してきました。 しかしその仕組みが壊れたことで、 在来種が減り、外来種が増え、災害リスクも高まっています。
■ ネイチャーポジティブへの転換

五箇氏が強調したのは、 「生物多様性保全は人間社会の安全保障である」ということ。
気候変動、新興感染症、外来生物の侵入…。 これらのリスクを抑え、人間が地球上で生き延びるためには、 自然を搾取する社会から、自然と共生する社会へ パラダイムシフトする必要があります。
資料では「Do It Locally」という言葉が示されていました。

🔎バイオマス発電

🔎ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)
- 地産地消
- 持続的農林水産業
- 地元密着型産業
- 再生可能エネルギー
- ITインフラと危機管理に強い街づくり
地域の自然と人が再びつながることで、 持続可能な社会が立ち上がる—— それがネイチャーポジティブの本質です。
■ 自然を守ることは、未来の私たちを守ること
今回の講座を通じて、 生物多様性は「環境の話」ではなく、 私たちの暮らし・健康・経済・文化のすべてを支える基盤であることを 強く実感しました。
自然を守ることは、 未来の子どもたちの社会を守ること。
IMAI企画としても、 地域の自然と共にある暮らしや農業、 フェアトレードやエシカルな選択を通じて、 ネイチャーポジティブな未来づくりに貢献していきたいと思います。

マダニ


キングギドラ五箇
#生物多様性
